諦めるな!性同一性障害と正面から向き合う大学生ブロガーに発信する想いを聞いてきた

いきなりですが、あなたは男ですか? 女ですか?

いや、これは身体の話ではなく心の話です。

 

男の身体なのに中身が女だったり、その逆だったり。

最近では珍しいことでもなくなってきた気がしますが、まだまだ日本の社会ではそういった悩みを抱える人が生きづらいというのが現状です。

 

そこで、今回は性同一性障害と向き合う大学生ブロガーの渡辺絢斗さん(@ayato_gid)にお話を伺ってきました。

 

渡辺絢斗
性同一性障害という境遇を持つ大学生ブロガー。ブログ「Raku Maji」では性同一性障害の悩む人に対して、自身の経験を活かした情報発信を行っている。

 

Sponsored Link

「なんでスカート履かないの?」周りの自分の扱いに対する”違和感”の正体を知ったきっかけとは

 

 ー 自分が性同一性障害だと自覚し始めたのはいつ頃なんですか?

 

小学生の高学年のころくらいから”違和感”はありました。

 

僕自身が男だと思って生活してるのに、親とか友達からはなぜか「女の子らしくしなさい」って言われたりとか。

「なんで?」「なに言ってんの?」って感じでしたね。

 

でもそのころは違和感がなんなのか分かってなかったから、どう反抗していいのか分からなかったんで、何も言えませんでした。

 

 ー どんな場面で一番違和感を抱くことが多かったですか?

 

そもそも、男友達と遊ぶことが多かったんです。

サッカーして泥遊びして野球したりとか外でアクティブに遊んでましたね。

 

でも教室に戻ったら昼休みとか給食とかに女の子たちから「なんでスカート履かないの?」とか言われて「ん? 何言ってんだこいつ」みたいな(笑)

そこらへんから、なんか違うのかなって思ってました。

 

女の子特有のグループでトイレに行くっていうやつが本当に無理でしたね。

僕はいつも「え? なんで?」みたいな感じで断ってました。

 

 ー あぁー女の子あるあるなやつですね。その違和感の正体を知ることになったきっかけはなんだったんでしょうか?

 

『性同一性障害』っていうものの存在を知ったのは中学3年の頃にテレビで「はるな愛」さんがきっかけですね。

 

テレビではるな愛さんの口から「性同一性障害」っていう言葉が出てきたことがあったんですよ。

 

それで「性同一ってなんだ?」と思ってインターネットで調べて「これだー!」ってストンと腑に落ちた感じでした。

 

 ー はるな愛さんがきっかけだったと。自分が性同一性障害だと自覚してからはどう過ごしましたか?

 

それをやわらげるためっていうわけでもないんですけど、それから中学卒業までの間は性同一だけじゃなくて同性愛とかについてのこととかを含めて、幅広く調べることに時間を費やしてた感じですね。

 

自分が性同一だって分かっても、医師からの診断結果がないと”自称”になっちゃうから、それをもらうための方法とか、手術についてのこととか。

 

「こいつらには話したい」カミングアウトする勇気をくれた存在とは

 

 ー 周りにそのことを打ち明けたことはあるんですか?

 

高校に入ってから初めて同学年の部活の友達にカミングアウトをしましたね。

 

カミングアウトすることで、「もし受け入れてくれなかったら」っていう不安が大きくて、親にも言えてなかったんですけど……

 

 ー かなり勇気が必要だったんじゃないですか? そのときに背中を押してくれたものってなにかありましたか?

 

高校生になってからは同じ境遇の人と知り合うことが多くて、ツイッターとかmixiとかのSNSでつながっていたんですよ。

その中で「隠してるくらいだったらカミングアウトした方がいいよ」って言ってる人がたくさんいたんですよ。

やっぱりカミングアウトしたいっていう気持ちは絶対あるんですよね。

 

実際にそういった人たちに会って、相談したりとか、カミングアウトした経験談を聞かせてもらったりしてると、「みんなに話したい」っていう欲が強くなっていって……

 

 ー 同じ境遇の人たちから勇気をもらったということですね。

 

やっぱり、カミングアウトすることでポジティブになれる部分が大きかったりするんです。

結局、相手に伝えた上で受け入れてくれなかったら、自分の中でそれを受け入れるしかないんですよね。

 

それで一番誰に言いたいのかって考えたときに、めちゃくちゃ面白くて大好きな部活仲間のこいつらには話したいって思ったんですよ。

もし受け入れてくれなかったとしてもべつにそれはそれでいい。

 

だったら「もう言っちゃおう」「言って自分らしく接したほうがいい」と思ってカミングアウトしましたね。

そのときはひとりでも理解してくれない人がいたら部活を辞めるっていう覚悟でいました。

 

 ー 実際の反応はどうだったんですか?

 

奇跡的にみんなが受け入れてくれたんですよ。

僕の予想では「え……?」みたいに凍りつくような反応を予想してたんですけど、意外とそうでもなくて「あぁ、うん、やっぱり」みたいな感じでした(笑)

 

「よく言えたね」「すごいね」みたいな感じの「言ってよかった」と思わせてくれる反応ばっかりでしたね。

 

 ー すばらしいですね! ご両親にもカミングアウトしたんですか?

 

親には大学入る前にカミングアウトしましたね。

でも親とは大喧嘩になりました。

「性同一性障害ではない」「性同一性障害の人たちに失礼でしょ」って言って受け入れてもらえなかったんです。

 

「私があなたのこと一番わかってるんだから」って言われたりとか。

 

 ー 部活仲間のときのようにはいかなかったと。

 

でも、それから半年くらい経った僕の誕生日に親から手紙がきて、「受け入れるのには時間がかかるけど、気持ちは大切にしたい」って言ってくれました。

 

 ー 素敵なご両親ですね。じゃあ結果的に「言ってよかった」ということですね?

 

そうですね。

いまは上京して大学通いながら一人暮らししてるんですけど、今は自分らしく生活を送れてます。

 

「普通の男性と同じように」副業を始めたきっかけとは

 

 ー じゃあ大学に入ってからもカミングアウトしたんですか?

 

大学ではカミングアウトはしてないんですよ。

べつに隠してるわけじゃなくて、治療とかもうしちゃってて普通に周りも男として扱ってるんで、べつに言うことでもないかなって感じなんですよね。

 

ブログではあえてわざわざ性同一性障害だって言ってるんですけど、普段の生活では自分からは言ってないです。

 

 ー たしかに声が低いなとは思ってました。いつごろから治療を始められたんですか?

 

20歳になってから治療を始めました。

っていうのも、治療するときって未成年だとだいたい親の同意書が必要なんですよ。

面倒だから20歳になったらすぐやろうと最初から思ってて。

 

 ー 治療費は結構かかりそうな印象がありますが……

 

治療にも段階があって、最初は注射で、次に手術、最後に戸籍変換っていうのがあるんですけど、僕は注射止まりなんで、そこまでお金かかってないです。

来年には手術したいなって思ってますけど。

 

でも治療してるの親に言ってないんですよ(笑)

前ひさびさに電話したら「誰ですか?」って言われました(笑)

 

 ー えぇ!? 言ってないんですか(笑)でも注射だけで声とかもそんなに変わるものなんですね。

 

すごいんですよ! ほんとに!

男性ホルモンを打ってるんですけど、これだけで普通の男性と同じような感じになりましたね。

 

声も変わるし筋肉も付きやすくなりますし。

 

「本当に好きならそれを強みにも変えれる」自身の経験からネット上で発信する想いとは

 

 ー 治療費はバイトかなにかで貯めているんですか?

 

バイトで貯めてはいるんですけど、やっぱり結構バイトだけでやりくりするのは結構しんどいんですよね。

 

それで「もっと治療費が欲しいけど、どうしたらいいんだろう」って考えて、転売とかアフィリエイトとかいろんな副業ビジネスに手を出してたことがあって。

 

 ー なるほど。副業で収入を得ようとしていたわけですね。

 

でも僕結構なにをやっても3日坊主なんです。

全然続くことがなくて、いろんなビジネスやって稼ぐっていうことができたとしても「楽しくねぇ」ってなって、辞めちゃうことが多かったんですよ。

 

そんなときにSNSでブロガーさんの存在を知ったんです。

そこからいろんな有名なブロガーさんを知っていって「あ、これだ!」って思いました。

 

もともと文章書くのが好きでアメブロでブログをやっていた時期があったっていうこともあって。

読者のためのコンテンツを作って、実際に収益を得ることができるよっていうのを見て「これならできそう」って思ってブログを始めたんです。

 

 ー ブログでのビジネスで治療費を稼いでみようと思ったということですね? ブログではどのようなことを発信しているんですか?

 

ブログでは、性同一性障害のことをメインに書いてます。

その他にも自分が興味あること、好きなこと、経験したことを記事にしようと思って発信している感じです。

 

 ー 性同一性障害の方にはどういったことを伝えていきたいですか?

 

僕と同じ境遇の人とか友達とかを見ると、やりたいことがない人とか好きなことがあっても趣味で終わっちゃう人とかがいっぱいいるんです。

 

性同一性障害の人もやりたいことがあるのに自分が「性同一性障害だから」っていう理由で諦めてしまうことが多いんですよね。

実際に僕もそうだったので。

 

だから性同一性障害の人には性同一性障害のせいでなにかを諦めるっていうことをなくして欲しいと思ってます。

本当にやりたいことがあるなら、弱みだって強みに変えることができるんだよっていうことを伝えていきたいっていうのが根っこにあります。

 

インタビューを終えて

周りから見えている自分と、自分から見ている自分がまったくの別物であるということは性同一性障害にかかわらず、多くあることです。

 

でも性同一性障害は人間の身体にかかわってくるものであり、気持ちだけではどうしようもない。

 

今回のインタビューで、そんな現実と小学生の頃から闘ってきたアヤトさんのマインドに良い刺激を受けました。

 

もしあなたも同じような悩みを抱えているのであれば、アヤトさんのブログを読むことで見えてくるものがあるかもしれませんよ。

 


Sponsored Link